現在日本におけるリンパ浮腫患者は20万人、毎年6千人の規模で増加しています(2009年のデータより算出)。
リンパ浮腫は一度発症すると腫瘍が根治された後も生涯続き、患者さんのQOL(生活の質)に著しく影響を与える疾患と言われています。
しかしながら、その標準となるリンパ浮腫の診断、治療、予防、評価は確立されていません。
その理由のひとつとして、肥満度、圧迫療法、治療効果などによって浮腫が生じる部位の組織の性状が大きく異なり、
自覚的な臨床症状としての組織の硬さを評価指標とするのが難しいということが挙げられます。
リンパ浮腫の診断、治療、予防、評価の確立にはリンパ浮腫モニタが必要不可欠です。
これは、大きく分けると、退院後に家庭用で用いるソフトフィールド・モニタ(生体インピーダンス法、プロセス・トモグラフィ(PT)法、リング法)と、
病院の診断機器として用いられるハードフィールド・モニタ(超音波、MRI、リンパシンチグラフィ、ICG蛍光リンパ管造影法) の2つの種類があります。
この両者を総称してリンパ浮腫モダリティと呼び、広く実用されているのですが、リンパ浮腫の物性や生化学などの基礎データは未だ乏しく、
医学的な診断・治療法、看護学的な予防・評価法、それらを支える工学的技術は、それぞれに十分な完成度を持っているとは言えません。
また、それぞれの分野での研究成果が十分にリンクした状況にあるとも言えない状況にあります。
リンパ浮腫モニタ・医療システム社会実装と
学理国際研究拠点によるディプレッション・フリー社会の実現
本研究会では、リンパ浮腫の治癒メカニズムの解明を含め、治療効果の客観的な検証法や治療の標準化、さらには、
リンパ浮腫組織の特徴・機能・性質などについて組織レベルにわたって広く・深く理解するとともに、モデル化や指標化を併せて実施し、
診断、治療、予防、評価に適用することが必要不可欠と考えます。
そこで、医学、看護学、工学、医工学についてそれぞれに先駆的な研究開発を実践している千葉大学において、
領域の垣根を超えた総合的な研究グループを形成し、リンパ浮腫の根源的な理解と安全かつ確実な治療法を確立することを目指すこととなりました。
我々は、それぞれの領域における専門家としての視点からリンパ浮腫についての理解に取り組むことはもちろんですが、
それを互いの視点に置き換えての相互理解が重要であると考えます。また、当然ながら、患者さんの身体的負担のみならず、
心の負担(ディプレッション)を軽減する、究極的には負担を無くすことを理想としています。
本研究会は、5つの研究チームから構成されています。1)リンパ浮腫ソフトフィールド・モニタをディプレッションフリーデザインで「創」り、2)モダリティを看護学の視点から評価し
患者を「看」て、3)医学的にモダリティ診断を確立し患者を「治」す。これらの基盤として、4)リンパ浮腫学理を「探」し求 め、これらの「創」「看」「治」「探」が融合することで、
5)リンパ浮腫モニタと医療システム社会実装を「産」みだし、学理国際研究拠点を創出し、リンパ浮腫に特化した総合医療体系を具現化します。
具体的な活動については、次ページをご覧ください。