RESEARCH

生体微細構造の3次元イメージング

生体組織の内部には,通常の観察では捉えられない微細な構造情報が存在します.骨や軟部組織の微細形態,わずかな密度差,複雑に絡み合う血管網──これらは疾患メカニズムの解明,治療効果の定量評価,新規診断技術の開発において本質的な役割を担っています.

本研究室では,マイクロX線CTと光干渉断層計 (OCT) を基幹技術として,生体組織の微細構造を可視化・定量化するための医用イメージングと画像解析に取り組んでいます.

撮影装置の設計から,撮影条件の最適化,画像再構成,画像解析まで,一連の流れを統合的に研究することで,画像を単なる可視化結果にとどめず,生体を読み解くための定量情報へと発展させることを目指しています.


マイクロCT 非破壊3次元形態計測

マイクロCTは,試料を切断することなく,内部の三次元微細構造を観察できるX線イメージング技術です.骨,血管,軟部組織,病理標本,小動物などを対象として,肉眼では見えない構造を三次元的に,かつ定量的に捉えることができます.

一方で,生体組織のマイクロCTイメージングには,空間分解能,コントラスト,被ばく線量,撮影時間のあいだに複雑なトレードオフがあります.高分解能で撮影しようとすれば線量や撮影時間が増加し,低線量に抑えようとすればノイズやアーチファクトが増えます.また,軟部組織ではX線吸収差が小さいため,通常の吸収コントラストCTでは構造を明瞭に描出することが難しい場合があります.

本研究室では,装置,撮影条件,画像再構成,画像解析を切り離して考えるのではなく,一連の計測プロセスとして統合的に研究しています.ハードウェア設計から画像再構成アルゴリズム,三次元定量解析までを連携させることで,生体組織の構造をより低線量に,より高精度に,そしてより信頼性高く捉えるマイクロCT技術の開発を目指しています.

Research setup 1

現在進行している研究テーマ (公開情報のみ)

  • 位相コントラストマイクロX線CTシステムの開発
  • 少数投影データを用いた画像再構成手法の開発
  • 進化生物学における形態変異の可視化と三次元マイクロCTデータ解析
  • パルスX線源を用いた低線量マイクロCTシステムの開発

OCT 光で読み取る組織構造と血管情報

OCT(光干渉断層計)は,光を用いて生体組織の断層構造を非侵襲的に観察できるイメージング技術です.特に眼科領域では,網膜や脈絡膜の層構造を高精細に可視化でき,疾患の診断や治療効果の評価に広く活用されています.また,OCTA(OCT angiography)では,造影剤を用いることなく血管構造を描出できるため,血管網の変化や血流に関連する情報の評価にも応用されています.

OCT/OCTA画像から診断や研究に有用な情報を安定して引き出すためには,高精度な画像解析技術が不可欠です.層境界の不明瞭さ,ノイズ,個人差,疾患による構造変化などにより,組織構造や血管情報を正確に定量化することは容易ではありません.画像を単に観察するだけでなく,これらの情報を数値として抽出し,疾患の理解や治療計画に結びつけることが重要になります.

本研究室では,OCT/OCTA画像に写る構造を定量情報へと変換するための画像解析技術の研究に取り組んでいます.組織の三次元構造解析から血管網の定量評価,AIを活用した自動解析まで,臨床や研究の現場で活用できる解析基盤の構築を目指しています.

Research setup 2

現在進行している研究テーマ (公開情報のみ)

  • OCT画像を用いた三次元脈絡膜構造のセグメンテーションと定量解析 [paper]
  • 疾患眼OCT画像における組織構造の定量解析 [paper]

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