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救急医療における生体情報モニタリング

(Biological information monitoring in emergency medical care)

救急医療の現場では,患者の健常性を評価することで救命介入の程度を判断します.救急医療の特徴として,緊急性や救急車内などの限られた空間での作業があげられます.そこで本研究室では,簡易的,小型な装置による患者の健常性の評価手段を開発することで,救急医療の現場への貢献を目指しています.

透過光解析による指間膜酸素飽和度の推定

現在:森川恵介,足立誠
卒業:エズムトルスン

概要:
救急医療の現場では,患者の健常性を判断する指標として酸素飽和度(SO2)が用いられます.当研究室では,既存のSO2推定装置における拍動検出の必要性などの問題点を解決する新たな推定手段の構築を行っています.具体的には,指間膜を対象に透過光の計測を行い,光の吸収度合いを解析することでSO2を推定します.また,その有効性を検証するためカフの圧迫により血流状態を悪化させた状態で,この手段と既存装置でSO2を推定し結果を比較しています.

外部発表リスト:
学会発表

  1. 森川恵介, 中野和也, 中田孝明, 大西峻, 羽石秀昭: 透過光解析による指間膜組織酸素飽和度推定, 日本光学会年次学術講演会(Optics & Photonics Japan 2020), 17aD7, (2020.11.14-17)
  2. 中野和也, 足立誠, エズムトルスン, 倉田智宏, 山岸秀浩, 大西峻, 中口俊哉, 中田孝明, 織田成人, 羽石秀昭: 拍動を要しない指間膜組織酸素飽和度モニタリングシステム, 第58回日本生体医工学会大会, PO-M-086, 沖縄コンベンションセンター (2019.6.6-8)
  3. 足立誠, エズムトルスン, 倉田智宏, 山岸秀浩, 中野和也, 大西峻, 中田孝明, 織田成人, 羽石秀昭: 透過光強度解析による拍動を要しない組織酸素飽和度推定の検討, 日本医工学治療学会第35回学術大会, O-36, 御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター (2019.2.22-24)
  4. T. Aizimu, K. Nakano, T. Ohnishi, T. Nakaguchi, N. Takahashi, T. Nakada, S. Oda, H. Haneishi: Tissue oxygen saturation estimation of human webbing using six-band LEDs, IUPESM 2018 World Congress On Medical Physics and Biomedical Engineering, MT9.3, Prague, Czech Republic (2018.6.3-8)
  5. T. Aizimu, M. Adachi, K. Nakano, T. Ohnishi, T. Nakaguchi, N. Takahashi, T.Nakada, S. Oda, H. Haneishi: In-vivo quantitative measurement of tissue oxygen saturation of human webbing using a transmission type continuous-wave near-infrared spectroscopy, SPIE PHOTONICS WEST BiOS 2018, Vol. 10501, pp. 10501-24, San Francisco, California, USA (2018.1.27-2.1)


共同偏視評価に向けた動画像解析

現在:生澤直樹
卒業:渡邊神

概要:
プレホスピタルスケールとは,救急患者を病院へ搬送前に患者の状態を評価および診断することです.プレホスピタルスケールにより,適切な病院選定が可能になり,現場滞在時間を短縮することができます.検査項目として,共同偏視や顔面麻痺,失語など他4項目あり,検査項目ごとに評価し,評価を統合して重症度を診断します.しかし,救急隊員では判断が困難な場合もあるため,救急車内における患者の定量的診断が求められています.当研究室では,共同偏視の定量的診断システムの構築を目指しています.具体的には,カメラで取得した動画像から眼球の動きを定量化し,追従能力の評価をしています.