JSPS研究拠点形成事業(A. 先端拠点形成型)
生体波動物性に基づく超音波病理学の創出
Creation of ultrasound pathology based on biological wave physical properties
JSPS研究拠点形成事業(A. 先端拠点形成型)
生体波動物性に基づく超音波病理学の創出
Creation of ultrasound pathology based on biological wave physical properties
超音波は身体へ負担をかけずにリアルタイムに体内組織の巨視的(マクロ)な形態や動態を知ることができるため,広い臨床領域で応用されています.近年では,観察対象組織の性質の正常時との違いを疾患の進行程度と関連付けて指標化する定量超音波(QUS: quantitative ultrasound)の技術開発が進み.本邦でも複数のQUS法が保険収載されています.一方で,疾患の確定的な診断のためには,組織を取り出して顕微鏡による微視的(ミクロ)な病理診断を行うことが多くの場合に必要です.生体組織のミクロな特徴とマクロな特徴の関係性を,物理的性質を軸として結びつけることで,超音波のみによる組織性状評価(TC: tissue characterization)が可能となり,真の意味でのQUSが実現し,診断・治療の能力が飛躍的に向上すると期待されます.
これまでに,本プロジェクトの参画者らは,細胞単体から体内臓器に至るマルチスケールで生体組織の音響的性質を理解するシステムと信号処理・解析技術を多数開発するとともに,臨床データにおけるQUSの評価値と生化学的・病理学的特徴との関連付けを,それぞれ国際連携研究として推進してきました.
本プロジェクトでは,これらを統合するとともに,国内外で各領域をリードする有力機関とのネットワークを強化・構築し,共同研究やセミナー等を通して相互の能力を高め合うとともに,各種の活動を通して若手研究者を育成します.プロジェクト期間においては,特に肝臓疾患の次世代超音波診断法を確立することを目指します.
研究課題 | 主たる海外参画国 | 主たる国内参画機関 |
---|---|---|
超⾳波⽣体計測システムの開発 | アメリカ、スウェーデン | 千葉,浜松医科,東京農⼯ |
超⾳波信号解析法の⾼精度化(ミクロ・マクロ評価とマルチモダリティを含む) | フランス、アメリカ、台湾 | 千葉,東北,浜松医科,東京農⼯ |
超⾼速超⾳波計測の定量診断応⽤ | スウェーデン、アメリカ、フランス | 富⼭,千葉 |
臨床データの集積と病理学・⽣理学的検証 | スウェーデン、アメリカ、フランス | 兵庫医科,順天堂,久留⽶,量研機構,千葉 |
データベースの構築と指標化および標準化 | イタリア、台湾、アメリカ、フランス | 千葉,兵庫医科,順天堂,久留⽶,量研機構 |
独立行政法人日本学術振興会( JSPS ;Japan Society for the Promotion of Science)が,我が国において先端的かつ国際的に重要と認められる研究課題について,我が国と世界各国の研究教育拠点機関をつなぐ持続的な協力関係を確立することにより,当該分野において世界的水準又は地域における中核的な研究交流拠点の構築とともに.次世代の中核を担う若手研究者の育成を目的として実施する研究拠点形成事業.