脳波などの脳信号を処理し，機械などを制御する命令に変換する技術をブレイン・マシン・インタフェース（Brain-Machine Interface: BMI）という．重度の肢体不自由者であっても，BMIを用いることで機器の操作やコミュニケーションが可能となることから，介護や医療の現場での普及が期待されている．現在のBMIでは，注意を向けた出現頻度の低い事象に対して生じる脳反応（P300）を利用して，あらかじめ用意された選択肢の中から使用者の意図を推定するタイプが主要な方式の一つとなっており，如何に効率よくP300反応を惹起し，精度良く検出するかが重要となる．本講義では聴覚刺激を用いてP300を誘発するタイプのBMIの性能向上を目指し，聴覚刺激として情動音を導入した研究の成果について紹介する．

世話人：中川誠司教授